深紅の鮮血と漆黒の闇に彩られた館

名作、人気のある作品から評価せず、私自身の独断と偏見で面白かったホラー映画を選んで、ランキング化しました。知名度が低いホラー映画がいくつかありますので、ホラー映画に飽きた方も参考にして選んでみてください。

【特集】見たことを後悔するホラー映画 イタリア編

【イタリアのホラー映画の特徴】
「面白ければ何でもありだ」という謎の精神と独特な世界観が詰まった珍作が多い。破綻したストーリーと残虐描写に力を入れた演出がイタリアンホラーの大きな特徴でもある。ストーリーが破綻しているにも拘らず、独特な世界観に中毒になるファンが意外と多い。

No. 1 食人族

【ジャンル】
モキュメンタリー/カニバリズム/スプラッター/問題作/胸糞
【公開年】
1980年
【製作国】
イタリア
【上映時間】
95分
【監督】
ルッジェロ・デオダート
【出演者】
ロバート・カーマン
ルカ・バルバレスキー
フランチェスカ・チアルディ
ガブリエル・ヨーク
ペリー・ピルカネン
リカルド・フュエンテス
【ストーリー】
アマゾンの秘境に入ったまま消息を絶った4人の男女を探しに来た教授のモンローは、森の中で彼らが食人族に食い殺されるまでの経緯が映されているフィルムを発見する。
【シリーズ一覧】
1980年 食人族
【評価】
ストーリー性:★★★★☆☆☆☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★★★☆☆
人間が怖い度:★★★★★★★★★★
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★★★★★★★★☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★★★☆☆
俳優の演技力:★★★★★★★☆☆☆
映像と演出力:★★★★★★★☆☆☆
胸糞が悪い度:★★★★★★★★★★
エロティック:★★★★☆☆☆☆☆☆
【感想】
恐ろしいのは野蛮人か、それとも文明人か。目を背けたくなるような残虐シーンの中に文明批判を盛り込んだイタリアンホラーの傑作。世界中で上映禁止になったホラー映画の1つとしても語り継がれている。本物の亀を生きたまま解体するシーンが特に有名で、趣味の悪さは間違いなく一級品。しかし一番怖いのは最終的に殺されることになる文明人の自己中な部分なのでは。40年以上前に作られたホラー映画であるにも拘らず、今の時代では表現できないようなレベルの描写や演出がいくつか見られ、かなり胸糞悪い内容になっている。また、本作品と同じ系統である、カニバリズム文化の中で生きている原住民を描いた"グリーン・インフェルノ"は環境破壊というテーマとゴア描写に力を入れているのに対して、本作品は文明批判と人間の怖さにフォーカスしたホラー映画だったように個人的にはそう感じた。ゴア描写とストーリーを重視したい方には"グリーン・インフェルノ"、胸糞悪さや人間の怖さを味わいたい方には"食人族"をオススメしたい。とはいえ、"食人族"を見終わった後はホラーマニアでも間違いなくトラウマになることは保証できる。動物虐待が苦手な方やホラー映画に不慣れな方は、それなりの覚悟をもって鑑賞するといいかもしれない。

No. 2 Patrick vive ancora

【ジャンル】
超能力/スプラッター/エロティック
【公開年】
1980年
【製作国】
イタリア
【上映時間】
92分
【監督】
マリオ・ランディ
【出演者】
サッシャ・ピトエフ
シャンニ・デイ
マリアンジェラ・ジョルダーノ
カーメン・ルッソ
パオロ・ジュスティ
フランコ・シルヴァ
【ストーリー】
医師のハーシェルが5人の男女をリゾート施設に招待したことがきっかけで、植物状態だったパトリックのテレキネシスが暴走し始める。
【シリーズ一覧】
1980年 Patrick vive ancora
【評価】
ストーリー性:★★★★★☆☆☆☆☆
オリジナル性:★★☆☆☆☆☆☆☆☆
人間が怖い度:★★★★★☆☆☆☆☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★★★★★★★★☆☆
ゾクゾクする:★★★★☆☆☆☆☆☆
俳優の演技力:★★★★★★★☆☆☆
映像と演出力:★★★★★★★☆☆☆
胸糞が悪い度:★★★★☆☆☆☆☆☆
エロティック:★★★★★★★★☆☆
【感想】
1978年にオーストラリアで公開された"パトリック"をイタリアが許可なく勝手にリメイクしたホラー映画。正式なリメイク版ではない。だが、本作品ではオーストラリアの"パトリック"を上回るほどの残虐非道な映像の数々を拝めるため、個人的には本作品の方が楽しめた。登場人物は自己中なお兄さんやエッチなことしか考えていない美女ばかり、そしてストーリーも支離滅裂。このように脚本やキャラクター性などに欠点があるにも拘らず、不思議と楽しめるポイントが多かった。特に全裸の女性の股間に長い棒を突き刺して口から貫通させる、フックが男性の首を引っ掛けるなどの阿鼻叫喚の残虐シーンに圧倒された。エログロな映像が多いため、「普通のホラー映画では満足できない、とにかく何でも来い」と自信のあるホラーマニアには全力でオススメできると思う。

No. 3 ビヨンド・ザ・ダークネス/嗜肉の愛

【ジャンル】
恋愛/カニバリズム/スプラッター/エロティック
【公開年】
1979年
【製作国】
イタリア
【上映時間】
94分
【監督】
ジョー・ダマト
【出演者】
キーラン・カンター
シンツィア・モンレール
フランカ・ストッピ
【ストーリー】
婚約者のアンナを病気で亡くしたフランクは、愛する女性を失った悲しみの中で、アンナの剥製と倒錯行為に没頭し始める。
【シリーズ一覧】
1979年 ビヨンド・ザ・ダークネス/嗜肉の愛
【評価】
ストーリー性:★★★★★☆☆☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★☆☆☆☆
人間が怖い度:★★★★★★★☆☆☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★★★★★★★★☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★☆☆☆☆
俳優の演技力:★★★★★★★☆☆☆
映像と演出力:★★★★★★★☆☆☆
胸糞が悪い度:★★★★☆☆☆☆☆☆
エロティック:★★★★★☆☆☆☆☆
【感想】
最愛の妻を亡くしたフランクの悲劇を倒錯した愛の形で耽美的に描いたネクロホラーの傑作。フランクが人間の剥製に没頭する、硫酸で死体を溶かす、剥製にした妻の横で他の女性と愛の営みをするなどの猟奇的で官能的な世界にひたすら痺れた。良い子には見せられないセックスシーンや猟奇描写をはじめ、コメディタッチのストーリー展開のオンパレードで独特な世界観に引き込まれた。また、ツッコミどころ満載の結末も含めて、丸ごと楽しめる点も魅力的なポイント。コメディタッチに描かれているとはいえ、悪趣味極まりない内容のため、見る人をかなり選ぶ内容でもある。特にアンダーグラウンドな世界観に浸かりたい人にはオススメできると思う。

No. 4 サスペリア

【ジャンル】
摩訶不思議/モンスター/ファンタジー
【公開年】
1977年
【製作国】
イタリア
【上映時間】
99分
【監督】
ダリオ・アルジェント
【出演者】
ジェシカ・ハーパー
ステファニア・カッシーニ
フラヴィオ・ブッチ
ミゲル・ボゼ
バーバラ・マグノルフィ
【ストーリー】
プロのバレリーナを目指しているスージーは、ヨーロッパのバレエ学校に留学して早々、天井から大量の蛆虫が落ちてきたり、盲目のピアニストが盲導犬に噛み殺されたりする等の不可解な事件に遭遇する。
【シリーズ一覧】
1977年 サスペリア
1980年 インフェルノ
2007年 サスペリア・テルザ 最後の魔女
2018年 サスペリア
【評価】
ストーリー性:★★★★★☆☆☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★★★★☆
人間が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:★★★★★☆☆☆☆☆
スプラッター:★★★★★★☆☆☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★☆☆☆☆
俳優の演技力:★★★★★★★☆☆☆
映像と演出力:★★★★★★★★★★
胸糞が悪い度:★★★☆☆☆☆☆☆☆
エロティック:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
イタリアンホラーの金字塔と評される名作。40年以上も前の作品であるにも拘らず、未だに話題に上がる人気ぶり。バレエ学校に単身留学してきたスージーの身の回りで起こる怪異を描いただけの映画で、ストーリーはあってないようなもの。言ってしまえばそれだけの映画ではあるが、ホラー映画という枠に限らず、ここまでアーティスティックで美しい映画はなかなか見つからないと思う。ホラー映画としての怖さは、ホラー映画に慣れている人からしたらそこまで怖くはないのが正直なところ。だが、ホラー映画として怖くないという欠点をカバーするかのように天井から落下した死体、何かに怯えるスージー、這い回る蛆虫、ゴブリンの音楽、傷口から流れる血、散りばめられた謎などの全てが美しい。それだけでも個人的には楽しめてしまう。独創性に満ちあふれた又は芸術的で美しいホラー映画を探している方にはまず、本作品をオススメしたいと考えているほど。

No. 5 ソドムの市

【ジャンル】
汚物/問題作/トーチャー/エロティック
【公開年】
1975年
【製作国】
イタリア
【上映時間】
117分
【監督】
ピエル・パオロ・パゾリーニ
【出演者】
パオロ・ボナチェッリ
ジョルジオ・カタルディ
アルド・ヴァレッティ
ウンベルト・パオロ・クィナヴァル
【ストーリー】
市町村条例を新しく制定した4人の権力者たちは、自身のの快楽を満たす目的で、18人の美男美女たちと共に性的な狂宴を繰り広げる。
【シリーズ一覧】
1975年 ソドムの市
【評価】
ストーリー性:★★★★★☆☆☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★★★★★
人間が怖い度:★★★★★★★★☆☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★★★★★☆☆☆☆☆
ゾクゾクする:★★★★★☆☆☆☆☆
俳優の演技力:★★★★★★★☆☆☆
映像と演出力:★★★★★★★☆☆☆
胸糞が悪い度:★★★★★★★★☆☆
エロティック:★★★★★★★★★★
【感想】
性と暴力に埋め尽くされた阿鼻叫喚の地獄絵図を描いた問題作。内容の過激さゆえに一部の地域では上映禁止になったことでも有名。現代の倫理観では表現できないエログロ要素が惜しみなく盛り込まれていることも怖いが、本作品が完成した直後にパゾリーニ監督が、ローマ郊外の海岸で死体となって発見されたというエピソードを後で知ったことの方が別の意味で怖かった。"セルビアン・フィルム"や"徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑"に匹敵するレベルの不快指数の高いシーンの連続にホラー映画が好きな俺でも気持ち悪くなったほど。反ファシズム的思想が反映されている作品であるとはいえ、スカトロや児童虐待などのあらゆるタブーが多いため、見る人をかなり選ぶ映画であることは事実。これだけは言えるのだが、特に若い女性は軽い気持ちで見てはいけない。

No. 6 ビヨンド

【ジャンル】
スプラッター/ファンタジー/ゾンビ
【公開年】
1981年
【製作国】
イタリア
【上映時間】
87分
【監督】
ルチオ・フルチ
【出演者】
カトリオーナ・マッコール
デヴィッド・ウォーベック
サラ・ケラー
ヴェロニカ・ラザール
アンソニー・フリーズ
【ストーリー】
叔父の遺産として閉鎖されていたセブン・ドアーズ・ホテルを相続したリザは、営業再開に向けてホテルの改修工事を進めていくうちに、様々な怪奇現象に巻き込まれる。
【シリーズ一覧】
1981年 ビヨンド
【評価】
ストーリー性:★★★★☆☆☆☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★★★☆☆
人間が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:★★★★★★☆☆☆☆
スプラッター:★★★★★★★★☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★☆☆☆☆
俳優の演技力:★★★★★★★☆☆☆
映像と演出力:★★★★★★★★☆☆
胸糞が悪い度:★★★★☆☆☆☆☆☆
エロティック:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
顔面崩壊をはじめとするバリエーション豊富な残虐シーンを惜しみなく披露するスプラッターホラーの怪作。あらゆるホラー映画の要素をこれでもかと詰め込んでいるため、ストーリーが破綻気味。ストーリーの整合性を追い出すと色々破綻しているのは否めないが、気合の入ったグロテスクなシーンを連発するという、簡単そうに見えて実は難しいテクニックによって一本のホラー映画として成り立っている点は個人的には凄いことだと思う。また、地獄の門を開いたことにより日常が徐々に崩壊していく恐怖を味わうだけではなく、見終わった後の不思議な解放感を味わうこともできた。とにかく、言葉では言い表せないほどの独特な怖さが癖になる作品だった。一般のホラー映画とは一味違うテイストを持つホラー映画が好きな人にはオススメ。

No. 7 サンゲリア

【ジャンル】
ゾンビ/スプラッター
【公開年】
1979年
【製作国】
イタリア
【上映時間】
91分
【監督】
ルチオ・フルチ
【出演者】
イアン・マカロック
ティサ・ファロー
リチャード・ジョンソン
アウレッタ・ゲイ
アル・クライヴァー
オルガ・カルラトス
【ストーリー】
ニューヨークの入り江で発生した殺人事件に興味を持った新聞記者のピーターは、父親の安否を確認したいアンと共に疫病が流行しているマトゥール島に向かう。
【シリーズ一覧】
1979年 サンゲリア
1988年 サンゲリア2
【評価】
ストーリー性:★★★★☆☆☆☆☆☆
オリジナル性:★★★☆☆☆☆☆☆☆
人間が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:★★★★★★★★☆☆
スプラッター:★★★★★★★★☆☆
ゾクゾクする:★★★★★☆☆☆☆☆
俳優の演技力:★★★★★★★☆☆☆
映像と演出力:★★★★★★★☆☆☆
胸糞が悪い度:★★★☆☆☆☆☆☆☆
エロティック:★★★☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
1978年にアメリカで公開されたゾンビ映画の金字塔とも呼ばれている"ゾンビ"は閉鎖空間での恐怖をシリアスに描いたドラマであるのに対して、本作品は腐敗したゾンビや人体破壊などのゴア描写に重きを置いているスプラッター映画である。ストーリーは薄っぺらいが、「目玉貫通や肉を食い千切るなどのゴア描写をたっぷり見せてやるぜ!」という、ルチオ監督の主張がストレートに表現されていて逆に清々しい。要するにシリアスなゾンビ映画が好きな人からしたら「何これ…?」とガッカリする可能性が高い反面、ストーリーよりエログロを重視したゾンビ映画が好きな人にはオススメできると思う。とはいえ、1970年代に撮られた本作品の特殊メイクの出来栄えは、最近のスプラッターホラーに匹敵するレベルであることから、その特殊メイクを見るだけでも一見の価値はあるはずだ。余談になるが、海中でゾンビと鮫が格闘するシーンに爆笑したのは俺だけだろうか。

No. 8 デモンズ

【ジャンル】
悪魔/ゾンビ/ワンシチュエーション
【公開年】
1985年
【製作国】
イタリア
【上映時間】
88分
【監督】
ランベルト・バーヴァ
【出演者】
ナターシャ・ホーヴェイ
ウルバノ・バルベリーニ
カール・ジニー
フィオーレ・アルジェント
パオロ・コッツォ
ニコレッタ・エルミ
【ストーリー】
悪魔の復活を描いたホラー映画の上映中に、1人の女性客が悪魔に変身したことがきっかけで、劇場は阿鼻叫喚の地獄絵図に変貌し始める。
【シリーズ一覧】
1985年 デモンズ
1986年 デモンズ2
【評価】
ストーリー性:★★★★★☆☆☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★★☆☆☆
人間が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
悪魔が怖い度:★★★★★★☆☆☆☆
幽霊が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★★★★★★★★☆☆
ゾクゾクする:★★★★★☆☆☆☆☆
俳優の演技力:★★★★★★★☆☆☆
映像と演出力:★★★★★★★☆☆☆
胸糞が悪い度:★★★☆☆☆☆☆☆☆
エロティック:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
映画館という閉鎖空間の中で、目を覆いたくなるほどの惨劇が繰り広げられる様子を描いたゾンビ映画の傑作。阿鼻叫喚の地獄絵図とゴシック風味のダークなメロディが絶妙にマッチしている演出がとにかくスタイリッシュだった。この演出も素晴らしいが、それ以上に素晴らしいと感じたのは、悪魔に噛まれたことで徐々に悪魔と化していく様子の特殊メイク。CGの技術がまだ発達していない時代の中で、細部までこだわり抜かれた特殊メイクだけで魅せる作品としてはホラー映画の中では間違いなく最高峰といってもよいぐらい。ストーリーはありきたりだが、テンポよくストーリーが進んでいく点とホラーマニアが満足できるレベルの残虐シーンを惜しみなく注ぎ込んでいる点があるため、ホラー初心者からホラー上級者まで気軽に楽しめると思う。未見の方は是非、自身の目でその恐怖を味わって欲しい。

No. 9 呪いの館

【ジャンル】
幽霊/アートハウス
【公開年】
1966年
【製作国】
イタリア
【上映時間】
84分
【監督】
マリオ・バーヴァ
【出演者】
ジャコモ・ロッシ=スチュアート
エリカ・ブラン
ファビエンヌ・ダリ
ピエロ・ルリ
ジャナ・ビバルディ
【ストーリー】
イタリアの片田舎で起きる奇怪な連続怪死事件の謎を追う検屍官のクルーガーは、調査中に鞠を持つ少女の亡霊の存在を知ることになる。
【シリーズ一覧】
1966年 呪いの館
【評価】
ストーリー性:★★★★★☆☆☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★★☆☆☆
人間が怖い度:★★★★★★☆☆☆☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:★★★★★★☆☆☆☆
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★★★☆☆☆☆☆☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★☆☆☆☆
俳優の演技力:★★★★★★★☆☆☆
映像と演出力:★★★★★★★★☆☆
胸糞が悪い度:★★★★☆☆☆☆☆☆
エロティック:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
ジャパニーズホラーをはじめ、その後の心霊ホラーに多大な影響を与えたイタリアンホラーの傑作。最近の心霊ホラーと比べると個人的にはすごく怖いとまではいかなかったが、自分自身をずっと追いかける無限ループや外から家の中を覗き込む少女の幽霊など、恐ろしいながらも美しいと感じてしまうような演出が印象的だった。不気味でありながらも幻想的な雰囲気やイタリアンホラーならではの独特な色使いなどの魅力も詰まっていた。クラシックなホラー映画が好きな人なら楽しめると思うが、そうではない人もホラー映画の歴史を紐解くという意味で本作品を見て、色々学ぶと楽しめるかもしれない。それにしても劇中に登場した豪華絢爛な屋敷に住んでみたいと感じたのは俺だけではないはず。

No.10 悪魔のはらわた

【ジャンル】
モンスター/スプラッター/エロティック
【公開年】
1973年
【製作国】
イタリア
【上映時間】
95分
【監督】
ポール・モリセイ
【出演者】
ジョー・ダレッサンドロ
ウド・キア
モニク・ヴァン・ボーレン
アルノ・ジュエギング
スルジャン・ゼレノビク
【ストーリー】
完璧な新人類創造を目指すことを夢見ているフランケンシュタイン博士は、助手のオットーと共に新人類創造に適した優秀な人材を探し始める。
【シリーズ一覧】
1973年 悪魔のはらわた
【評価】
ストーリー性:★★★★★☆☆☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★★★★☆
人間が怖い度:★★★★★★☆☆☆☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:★★★★☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★★★★★★★☆☆☆
ゾクゾクする:★★★★☆☆☆☆☆☆
俳優の演技力:★★★★★★★☆☆☆
映像と演出力:★★★★★★★☆☆☆
胸糞が悪い度:★★★★★☆☆☆☆☆
エロティック:★★★★★★☆☆☆☆
【感想】
フランケンシュタインを題材にしたホラー映画の中では個人的に好きな作品。女性の腹を裂いて内臓に男性器を挿入するだの、男性同性愛者のフランケンシュタインが親友の体に欲情するだの、斬首や腕を切り落とす残虐描写があるだのとカオスな内容でぶっ飛んでいた。フランケンシュタイン博士を筆頭に登場人物全員が変態であるため、次に何が起きるかが全く予想出来ない展開も面白かった。ちなみに本作品は"ビヨンド・ザ・ダークネス/嗜肉の愛"と同様にコメディタッチに描かれているが、先述にもある通り良い子には見せられないシーンが多いため、その辺には注意して欲しい。というわけで、悪趣味な作品に抵抗がない又は心の広い人にはオススメできる作品だと個人的には思う。

《その他:ランクインしなかったけど怖いホラー映画》
地獄の門(1980)、クラシック・ホラー・ストーリー(2021)、ザ・リッパー(1982)、アクエリアス(1986)、ザ・トレイン(1989)など。