深紅の鮮血と漆黒の闇に彩られた館

名作、人気のある作品から評価せず、私自身の独断と偏見で面白かったホラー映画を選んで、ランキング化しました。知名度が低いホラー映画がいくつかありますので、ホラー映画に飽きた方も参考にして選んでみてください。

【特集】見たことを後悔するホラー映画 日本編

【日本のホラー映画の特徴】
洋画は直接的な描写や派手な演出で恐怖を引き起こすのに対して、邦画は観客の想像力を刺激して恐怖を喚起するのが特徴。他の国と比べると日本の方が静けさの中に響く不気味な音や床が軋む音などの不安を駆り立てる演出は上手い。真面目な国民性として知られている日本だが、痛みに特化した拷問系のスプラッターホラーも実は得意。

No. 1 呪怨

【ジャンル】
幽霊/サイコ/オムニバス
【公開年】
1999年
【製作国】
日本
【上映時間】
76分
【監督】
清水祟
【出演者】
栗山千明
三輪ひとみ
三輪明日美
洞口依子
柳憂怜
吉行由実
【ストーリー】
小学校教師として働いている小林は、家庭訪問で佐伯家に向かうが、家の中の異様な様子や怪我をしている俊雄を見て不安に駆られる。
【シリーズ一覧】
1999年 呪怨
2000年 呪怨2
2002年 呪怨
2003年 呪怨2
2004年 THE JUON 呪怨
2006年 呪怨 パンデミック
2009年 呪怨 ザ・グラッジ3
2009年 呪怨 白い老女
2009年 呪怨 黒い少女
2014年 呪怨 終わりの始まり
2015年 呪怨 ザ・ファイナル
2016年 貞子VS伽倻子
2020年 ザ・グラッジ 死霊の棲む屋敷
【評価】
ストーリー性:★★★★☆☆☆☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★★☆☆☆
人間が怖い度:★★★★★★★★☆☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:★★★★★★★★★★
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★★★☆☆☆☆☆☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★★★★★
俳優の演技力:★★★★★★★☆☆☆
映像と演出力:★★★★★★★☆☆☆
胸糞が悪い度:★★★★★★☆☆☆☆
エロティック:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
徐々に登場人物たちを侵していく闇に気持ち悪さを感じるジャパニーズホラーの傑作。今回は劇場版ではなく、ビデオ版を個人的にはオススメしたい。なぜならジャパニーズホラーならではの目に見えない何かがそこにいるかのような雰囲気と悪霊の登場シーンのどちらも両立していて怖いからだ。低予算で作られたホラー映画のため、チープな部分が多少は気になるものの、画質の荒さが不気味さに拍車を掛けているという点もなかなか良かった。さらにストーカーと化した伽倻子や嫉妬深い剛雄といった、歪んでいる人間の狂気じみた言動や行動も良い意味で悍ましい。理不尽な呪いに怯えたいホラーマニアなら満足できるかもしれない。

No. 2 徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑

【ジャンル】
スプラッター/エロティック/トーチャー/歴史劇/問題作/胸糞/恋愛
【公開年】
1976年
【製作国】
日本
【上映時間】
80分
【監督】
牧口雄二
【出演者】
内村レナ
川谷拓三
風戸佑介
汐路章
橘麻紀
岩尾正隆
【ストーリー】
長崎奉行所の拷問と惨たらしい刑罰に疑問を感じていた伊織は、捕らわれの身となった登世と共に仕置場からの逃亡を図る。
【シリーズ一覧】
1976年 徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑
【評価】
ストーリー性:★★★★★★☆☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★★★★★
人間が怖い度:★★★★★★★★★☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★★★★★★★★☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★☆☆☆☆
俳優の演技力:★★★★★★★★☆☆
映像と演出力:★★★★★★★☆☆☆
胸糞が悪い度:★★★★★★★★★★
エロティック:★★★★★★★★★★
【感想】
タイトルと内容は時代劇に見えるが、一般人が見るような時代劇ではない。猟奇シーンや性的なシーンが頻繁に出てくるので要注意。スプラッター映画をあまり作らない日本でも"セルビアン・フィルム"や"ムカデ人間2"に匹敵する問題作が40年以上前に公開されていたことに驚いた。ストーリー構成は1章と2章に分かれているが、1章の方が個人的には鬼畜な内容だと思う。1章では、特に奉行が不気味な笑顔で崇拝者や気に入らない者を処刑する光景が未だに脳裏に焼き付いている。2章では、1章と比較すると残虐なシーンは少ないが、倫理的に問題がある又は救いのない物語が1章と同様に続くため、最初から最後までかなり不快。要するに油断は禁物だ。挙げ句の果てには、釜茹での刑だの、馬を使った八つ裂きの刑だの、犬が女性の体を舐め回すだの、排泄物だらけだの、グロテスクな映像に圧倒される羽目に。覚悟した上で見て欲しい。昔のホラー映画を面白くないと感じている人でも楽しめる可能性は大いにあるだろう。

No. 3 ミンナのウタ

【ジャンル】
幽霊/ミステリー/ミュージカル
【公開年】
2023年
【製作国】
日本
【上映時間】
102分
【監督】
清水祟
【出演者】
白濱亜嵐
片寄涼太
小森隼
早見あかり
関口メンディー
マキタスポーツ
【ストーリー】
ラジオ番組のパーソナリティを務めている小森が失踪した日を境にGENERATIONSのマネージャーの凛は、元刑事の権田に捜査を依頼する。
【シリーズ一覧】
2023年 ミンナのウタ
【評価】
ストーリー性:★★★★★★★☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★☆☆☆☆
人間が怖い度:★★★★★★★★★☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:★★★★★★★★★☆
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★★★★★
俳優の演技力:★★★★★★★★☆☆
映像と演出力:★★★★★★★★★☆
胸糞が悪い度:★★★★★★★☆☆☆
エロティック:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
近年のジャパニーズホラーの中では、群を抜いて怖かった。オリジナリティや新鮮味は薄い、終わり方が気に入らないなどの不満点はあるかもしれないが、"呪怨"以来の禍々しくて邪悪なホラー映画であることに間違いない。GENERATIONSのメンバーが本人役で出演しているということで、彼らを格好良く見せる為のファン用映画だろうと最初は甘くみていたが、実際は清水監督が"呪怨"のような恐ろしさで俳優も観客も怖がらせてくる本格ホラーで、GENERATIONSのファンたちは間違いなくトラウマになったはずだ。日常生活に侵食する後味の悪さ、絶望に突き落とす演出が本当に巧みで、いつの間にか清水監督のワールドに引き込まれてしまうほど。本格的なジャパニーズホラーが好きな人なら見て損はしないだろう。

No. 4 リング

【ジャンル】
幽霊/超能力/ミステリー
【公開年】
1998年
【製作国】
日本
【上映時間】
96分
【監督】
中田秀夫
【出演者】
松嶋菜々子
真田広之
中谷美紀
沼田曜一
竹内結子
【ストーリー】
見たら1週間後に死ぬというビデオテープの噂を耳にしたテレビレポーターの玲子は、噂が本当かどうかを検証するために呪われたビデオテープを探し始める。
【シリーズ一覧】
1995年 リング 完全版
1998年 リング
1998年 らせん
1999年 リング2
1999年 リング・ウィルス
2000年 リング0 バースデイ
2002年 ザ・リング
2005年 ザ・リング2
2012年 貞子3D
2013年 貞子3D2
2016年 貞子VS伽倻子
2017年 ザ・リング/リバース
2019年 貞子
2022年 貞子DX
【評価】
ストーリー性:★★★★★★★★★☆
オリジナル性:★★★★★★★★☆☆
人間が怖い度:★★★★★☆☆☆☆☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:★★★★★★★★★★
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★★★★☆
俳優の演技力:★★★★★★★★★★
映像と演出力:★★★★★★★★★★
胸糞が悪い度:★★★★★☆☆☆☆☆
エロティック:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
ジャパニーズホラーの金字塔として今でも語り継がれている作品。心臓に悪い又は流血シーンをたくさん入れまくることが正解ではないということを知るきっかけにもなったホラー映画でもある。さらに原作の設定を大幅に変更して成功した数少ない作品の一つでもあるのだ。余談だが、平成又は令和時代を生きている若者たちの中には、1998年に公開した"リング"より先に作られた"リング 完全版"の存在を知らない人が多いと思う。より濃厚なホラー要素を求めている人には1998年の"リング"を、原作に忠実でミステリー要素を求めている人には1995年の"リング 完全版"をそれぞれオススメしたい。また、ジャパニーズホラーの多彩な魅力に触れたい初心者は、まず本作品から鑑賞するとより楽しめるだろう。

No. 5 インプリント ぼっけえ、きょうてえ

【ジャンル】
問題作/歴史劇/ミステリー/トーチャー
【公開年】
2006年
【製作国】
日本
【上映時間】
63分
【監督】
三池崇史
【出演者】
工藤夕貴
ビリー・ドラゴ
【ストーリー】
行方不明になった小桃を探すために日本各地を放浪していたアメリカ人のクリスは、遊廓で小桃のことを知っている女郎と一夜を共にする。
【シリーズ一覧】
2006年 インプリント ぼっけえ、きょうてえ
【評価】
ストーリー性:★★★★★★★☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★★★★★
人間が怖い度:★★★★★★★★☆☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:★★★★★☆☆☆☆☆
スプラッター:★★★★★★☆☆☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★★☆☆☆
俳優の演技力:★★★★★★★★★☆
映像と演出力:★★★★★★★★★☆
胸糞が悪い度:★★★★★★★☆☆☆
エロティック:★★★☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
針を使った痛々しい拷問やらタブー視される近親相姦やらで常軌を逸している部分が多い問題作。"マスターズ・オブ・ホラー"の中で唯一、アメリカでは放送中止になった曰く付きの作品。さらにホラー映画の巨匠ことトビー監督やダリオ監督などが手掛けた作品の中で、三池監督が手掛けた本作品がNo.1といっても良いほど、海外では絶賛されているレビューが目立つ。同じ日本人として誇りに思いたい。陰湿な雰囲気や救いのないストーリーは秀抜だが、お洒落な着物や派手な色の髪の毛を活かしたファッションのデザイン性に関しては個人的には好きではない。本来の日本らしい服装にした方が日本らしいホラー映画になるはずだ。勿体ない点はいくつかあったが、不快な気分に浸かりたい要素がたくさん詰まっていている点に関しては間違いなく、ホラー映画の中ではトップクラス。痛々しい又は陰湿なホラー映画が好きな方なら楽しめるだろう。

No. 6 降霊

【ジャンル】
犯罪/幽霊/憑依/ドラマ/ミステリー
【公開年】
2000年
【製作国】
日本
【上映時間】
118分
【監督】
黒沢清
【出演者】
役所広司
風吹ジュン
石田ひかり
志垣太郎
哀川翔
草彅剛
【ストーリー】
自身に霊を憑依させることが出来る能力を持つ純子は、話題中の少女誘拐事件を利用して、自分を嘲ってきた世間を見返す計画を企てる。
【シリーズ一覧】
1964年 雨の午後の降霊祭
2000年 降霊
【評価】
ストーリー性:★★★★★★★★☆☆
オリジナル性:★★★★★★★☆☆☆
人間が怖い度:★★★★★★★★★☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:★★★★★★★★☆☆
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★★★★★
俳優の演技力:★★★★★★★★★★
映像と演出力:★★★★★★★★★★
胸糞が悪い度:★★★★★☆☆☆☆☆
エロティック:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
幽霊よりも悪意の塊のような人間の方が悍ましいミステリーホラーの傑作。不気味な存在感を放つ幽霊の描写が上手すぎて、夢に出てきそうな怖さ。特にファミリーレストランに現れる赤い服の女性のシーンにはゾッとした。幽霊も怖いのだが、何もないはずの空間や日常生活を送っているはずの家の中も不気味に撮られていて、その辺も怖かった。さらにお金持ちになりたいという私欲にまみれた夫婦がある罪を犯したことで、家庭崩壊という名の地獄に落ちるという様子を描いたヒューマンドラマも恐ろしい。サイコホラーとオカルトホラーの良いとこ取りで、黒沢監督のホラー映画の中では間違いなく最恐。ただ、とある人物が幽霊を殴るシーンは笑ってしまった。

No. 7 ザ・ギニーピッグ マンホールの中の人魚

【ジャンル】
生物/病気/サイコ/モンスター/スプラッター
【公開年】
1988年
【製作国】
日本
【上映時間】
63分
【監督】
日野日出志
【出演者】
斉木しげる
染井真理
利重剛
久本雅美
【ストーリー】
妻に逃げられた画家の林は、マンホールの中で幻想に浸りながら絵を描く中、奇病に侵された人魚を発見する。
【シリーズ一覧】
1985年 ギニーピッグ 悪魔の実
1985年 ギニーピッグ2 血肉の華
1986年 ギニーピッグ3 戦慄!死なない男
1986年 ギニーピッグ4 悪魔の女医さん
1988年 ザ・ギニーピッグ マンホールの中の人魚
1989年 ザ・ギニーピッグ2 ノートルダムのアンドロイド
1990年 LSD ラッキー・スカイ・ダイアモンド
2014年 アメリカンギニーピッグ
2015年 アメリカンギニーピッグ ブラッドショック!!
2017年 American Guinea Pig:Sacrifice
2017年 American Guinea Pig:The Song of Solomon
【評価】
ストーリー性:★★★★☆☆☆☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★★☆☆☆
人間が怖い度:★★★★★★☆☆☆☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:★★☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★★★★★★★★★★
ゾクゾクする:★★★★★★☆☆☆☆
俳優の演技力:★★★★★★☆☆☆☆
映像と演出力:★★★★★★★☆☆☆
胸糞が悪い度:★★★★★★☆☆☆☆
エロティック:★★★☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
"THE BITE 変身する女"や"ザ・フライ"のように人間が何らかの病気で醜い化け物になる過程を描いたボディホラーの怪作。人を殺す描写はないものの、皮膚がドロドロに溶けたり傷口から虫が湧いたりするなどの生理的嫌悪感が半端ないシーン満載でかなり人を選ぶ内容になっている。その中でも"スクワーム"というホラー映画と良い勝負になるほど、本物のミミズやゴカイなどのワームを使っているシーンが特に気持ち悪かった。人魚役を演じた染井が体を張って、本物のワームを裸体にくっつけるなどの気持ち悪いことまでにチャレンジする精神も凄かった。また、1980年代に製作されたとは思えないほどのクオリティの高い特殊メイクも必見。ダイエットをしたい人には打って付けの作品になるだろう。

No. 8 オーディション

【ジャンル】
恋愛/問題作/サイコ/トーチャー
【公開年】
1999年
【製作国】
日本
【上映時間】
115分
【監督】
三池崇史
【出演者】
石橋凌
椎名英姫
國村隼
松田美由紀
大杉漣
【ストーリー】
7年前に妻を亡くして息子の重彦と寂しい日々を過ごしていた青山は、映画制作と称したオーディションで再婚相手を探していくうちに、ミステリアスな麻美に思いを寄せ始める。
【シリーズ一覧】
1999年 オーディション
【評価】
ストーリー性:★★★★★★★☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★★★☆☆
人間が怖い度:★★★★★★★★★★
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★★★★★★☆☆☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★★★★☆
俳優の演技力:★★★★★★★★★☆
映像と演出力:★★★★★★★★★☆
胸糞が悪い度:★★★★★★☆☆☆☆
エロティック:★★★☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
ジャパニーズホラー特有の背筋が凍るような雰囲気、麻美役を演じた椎名英姫の怪演、胸糞展開などと色々と魅力の多いサイコホラーの名作。前半は青山が美しい麻美と出会ってお互いに愛を深めていくという、ホラー映画とはかけ離れたラブストーリーで、ホラー映画を見に来たはずの観客は退屈に感じるかもしれない。だが、後半になると一気にホラー色が強くなるため、最後まで見て欲しい。本作品は視覚的な恐怖と精神的な恐怖の両方で攻めてくる内容で、見終わった後は良い意味で疲労感が半端なかった。特に蠢く袋と黒電話と麻美が佇む和室という異様な空間、幼少期の性的虐待、ワイヤーで足をギコギコ切断するなどの不快なシーンが個人的には印象的だった。このように好き嫌いが分かれるホラー映画だったが、終盤に畳みかけるように繰り広げられる狂気に満ちた描写の数々は、サイコホラーが好きな方なら奥歯の震えるような感動を覚えるに違いない。鑑賞後、「キリキリ…」という台詞が勝手に脳内再生されたのは俺だけではないはずだ。

No. 9 ノロイ

【ジャンル】
モキュメンタリー/ミステリー/超能力/幽霊/憑依
【公開年】
2005年
【製作国】
日本
【上映時間】
115分
【監督】
白石晃士
【出演者】
村木仁
久我朋乃
荒俣宏
松本まりか
飯島愛
高樹マリア
【ストーリー】
実録怪奇作家の小林は、怪奇現象を題材にしたドキュメンタリー番組を製作する目的で、奇妙な事件の調査を進めていくうちに、古い集落の因習に纏わる祟りに巻き込まれる。
【シリーズ一覧】
2005年 ノロイ
【評価】
ストーリー性:★★★★★★☆☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★★★☆☆
人間が怖い度:★★★★★☆☆☆☆☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:★★★★★★★☆☆☆
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★★★☆☆
俳優の演技力:★★★★★★★★☆☆
映像と演出力:★★★★★★★★☆☆
胸糞が悪い度:★★★★☆☆☆☆☆☆
エロティック:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
お蔵入りになった心霊番組の"ノロイ"を紹介するという設定のモキュメンタリーホラーの傑作。よくあるジャンプスケア系の演出や幽霊が徐々に近づいてくるような表現はほとんどなくて、全体的には静かで不気味。まるで見えない何かが自身の体にまとわりついているような感覚でもあった。本作品のラストにはスタッフロールが存在しておらず、初めて見た時の自分は一瞬、「本当にあった話なのか?」と誤解しそうになったことを今でもよく覚えている。それぐらいリアリティのあるホラー映画だった。また、主人公が怪奇作家という設定のため、取材や調査を行うにつれ、複数の怪奇現象が徐々に一つに繋がっていくという、ミステリー色の強い脚本も面白い。どんな人にオススメできるかとなった場合、"リング"のように不気味で静かなホラー映画が好きな方にはオススメできると思う。幽霊やモンスターが派手に登場するのが好きな人には、あまりオススメできないだろう。

No.10 奇妙なサーカス

【ジャンル】
エロティック/ミステリー/サイコ/問題作/胸糞
【公開年】
2005年
【製作国】
日本
【上映時間】
108分
【監督】
園子温
【出演者】
宮崎萬純
いしだ壱成
桑名里瑛
【ストーリー】
実の父親に抱かれる小学生の美津子は、それを忌むべき事とは知らずに父親との肉体関係を続ける中、愛する男を娘の美津子に奪われたくないと考えた小百合は夫を激しく求め始める。
【シリーズ一覧】
2005年 奇妙なサーカス
【評価】
ストーリー性:★★★★★★★★☆☆
オリジナル性:★★★★★★★★★☆
人間が怖い度:★★★★★★★★☆☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★★★★☆☆☆☆☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★★☆☆☆
俳優の演技力:★★★★★★★★★☆
映像と演出力:★★★★★★★★★★
胸糞が悪い度:★★★★★★★★★★
エロティック:★★★★★★☆☆☆☆
【感想】
園子温ワールドが炸裂したエロティックホラーの問題作。「エログロ・児童虐待・近親相姦」というキーワードが連想される作品になっており、そういうのが苦手な人にとってはかなり不快に感じるかもしれない。さらにジャンルはミステリー又はエロティックでありながらも下手なホラー映画よりも気持ち悪くて恐ろしかった。単なるエログロだけでは終わらず、ストーリーにちゃんと捻りがあって、「意外な人物が実は…」という衝撃的なラストにも鳥肌が立った。また夢か現実かも分からないような血塗れの学校が登場する場面も悍ましい。とにかく、ホラー映画が好きな自分でさえも気分が悪くなるほどの内容で、軽い気持ちで見るような作品ではないのは確かだ。良い意味で褒めている。好き嫌いは分かれると思うが、ハマる人にはハマる作品になるだろう。

《その他:ランクインしなかったけど怖いホラー映画》
仄暗い水の底から(2001)、アイアムアヒーロー(2015)、輪廻(2005)、エクステ(2007)、無垢の祈り(2015)、トリハダ(2012)、冷たい熱帯魚(2010)、感染(2004)、殺し屋1(2001)、回路(2000)、着信アリ(2004)、震える舌(1980)など。

【特集】見たことを後悔するホラー映画 アメリカ編

アメリカのホラー映画の特徴】
殺人鬼やモンスターなどの分かりやすい怪物が主人公たちに襲い掛かるものが多く、派手な効果音やグロテスクなシーンを見せることで恐怖を体感させるものが多いのが特徴。たまに日本のホラー映画のように派手な演出を抑えて、恐怖をエンタメ化せずに恐怖として描く作品もある。最近は社会問題を盛り込んだ社会派ホラーや高尚的なアートハウスホラーがトレンドになりつつある。

No. 1 テキサス・チェーンソー ビギニング

【ジャンル】
スラッシャー/スプラッター/サイコ/実話/胸糞
【STORY
住む土地に異常な執着を持つヒューイット一家は、産業が潰れてゴーストタウン化した町で、旅人や捜索に来た地元の保安官などを次々と血祭りに上げる。
【公開年】
2006年
【製作国】
アメリ
【上映時間】
92分
【監督】
ジョナサン・リーベスマン
【出演者】
ジョーダナ・ブリュースター
マット・ボマー
テイラー・ハンドリー
ディオラ・ベアード
アンドリュー・ブリニアースキー
ロナルド・リー・アーメイ
【評価】
ストーリー性:★★★★★★★☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★★☆☆☆
人間が怖い度:★★★★★★★★★★
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
人体破壊描写:★★★★★★★★★☆
ゾクリとする:★★★★★★★★★★
俳優の演技力:★★★★★★★★★☆
芸術性と演出:★★★★★★★★★☆
胸糞度と不快:★★★★★★★★★★
エロティック:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【シリーズ】
1974年 悪魔のいけにえ
1986年 悪魔のいけにえ2
1990年 悪魔のいけにえ3 レザーフェイス逆襲
1995年 悪魔のいけにえ レジェンド・オブ・レザーフェイス
2003年 テキサス・チェーンソー
2006年 テキサス・チェーンソー ビギニング
2013年 悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲
2017年 レザーフェイス 悪魔のいけにえ
2022年 悪魔のいけにえ レザーフェイス・リターンズ
【感想】
不朽の名作として知られている"悪魔のいけにえ"をリメイクした"テキサス・チェーンソー"の続編。牧歌的な要素やコミカルな演技などを一切排除し、ひたすら絶望的な残虐描写に徹した凶悪なホラー映画。まず、伝説的なオリジナル版に臆さず、本気で怖い映画を作ろうとする製作者の気合いを個人的には褒め称えたい。さらに名作をリブート又はリメイクしたホラー映画の中では、一番好きな作品でもある。だが、ホラー映画は余裕で見れるからと安易な気持ちで本作品を見ると、人によっては間違いなくトラウマになるだろう。知名度に関しては、オリジナル版の"悪魔のいけにえ"と比較すると本作品の方が低いのは否めないが、絶望的な恐怖を味わえることに関しては自信を持って保証したい。というわけで、極限の恐怖を御賞味あれ。

No. 2 ヘレディタリー/継承

【ジャンル】
憑依/悪魔/カルト/ドラマ/ミステリー/アートハウス
【公開年】
2018年
【製作国】
アメリ
【上映時間】
127分
【監督】
アリ・アスター
【出演者】
トニ・コレット
ガブリエル・バーン
アレックス・ウルフ
ミリー・シャピロ
【ストーリー】
家長のエレンがこの世を去った後に得体の知れない何かを受け継いでしまったグラハム一家は、邪悪で忌まわしい運命に翻弄される羽目に陥る。
【シリーズ一覧】
2018年 ヘレディタリー/継承
【評価】
ストーリー性:★★★★★★★★★☆
オリジナル性:★★★★★★★★★★
人間が怖い度:★★★★★★★★★☆
悪魔が怖い度:★★★★★★★☆☆☆
幽霊が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★★★★★☆☆☆☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★★★★★
俳優の演技力:★★★★★★★★★★
映像と演出力:★★★★★★★★★★
胸糞が悪い度:★★★★★★★☆☆☆
エロティック:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
「2018年で最も怖いホラー映画」と評判になり、一気に注目を集めたオカルトホラーの傑作。ホラーマニアだけではなく、批評家などの業界人からも「21世紀最高のホラー映画」と大絶賛されている。正直な感想としては、何かとんでもないものを見てしまったなという感想が真っ先に思い浮かんだ。ホラー映画としての怖さ、伏線の嵐、巧みな脚本の完成度、視覚的な恐怖、精神的な恐怖、オリジナリティ等のどれも本当に素晴らしい。あまり怖くなかったとレビューしている方をちらほら見かけるが、ホラー映画に慣れている自分は個人的には怖かった。また、解説を読めば読むほどまた見たくなってしまうという中毒性の高さも実は見所の一つである。ストーリーが非常に難解で、一回だけの鑑賞で内容を理解することは難しいため、公式での解説を読んでから再鑑賞するとより楽しめるかもしれない。ホラーマニアなら見て損はないと思うが、好き嫌いが意外と分かれる内容でもあるのだ。以上から未見の方には、過剰期待を避けてハードルを下げた状態での鑑賞を推奨したい。

No. 3 テリファー 終わらない惨劇

【ジャンル】
スプラッター/スラッシャー/ファンタジー
【公開年】
2022年
【製作国】
アメリ
【上映時間】
138分
【監督】
ダミアン・レオーネ
【出演者】
ローレン・ラベラ
エリオット・フラム
デイビット・ハワード・ソーントン
【ストーリー】
ハロウィンの夜に復活した殺人鬼のアート・ザ・クラウンは、仮装した若者たちで賑わうパーティーに乗り込んで次々と若者たちを血祭りに上げる。
【シリーズ一覧】
2016年 テリファー
2022年 テリファー 終わらない惨劇
【評価】
ストーリー性:★★★★★☆☆☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★★☆☆☆
人間が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:★★★★★★★★★★
スプラッター:★★★★★★★★★★
ゾクゾクする:★★★★★★★★☆☆
俳優の演技力:★★★★★★★☆☆☆
映像と演出力:★★★★★★★★★★
胸糞が悪い度:★★★★★★☆☆☆☆
エロティック:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
前作よりもさらに残虐性と冷酷さを増したアート・ザ・クラウンが全米を恐怖に陥れるスプラッターホラーの傑作。延々と繰り広げられる悪趣味な見せ場の数々に本気で激怒する又は気分が悪くなる観客が続出したことで話題になった。「本当に殺しているのではないか?」と勘違いするほどのリアルな特殊メイクを駆使した殺害シーンは、筋金入りのホラーマニアでも目を背けたくなるほど。ただ、2時間越えの長尺とファンタジー要素が本当に必要だったのかは疑問で、やや無理矢理な感は否めない。それを差し引いても多額のお釣りが出るほど怖い内容であるのは言うまでもない。百戦錬磨のホラーマニアなら楽しめるはずだ。とはいえ、本作品はアート・ザ・クラウンによる惨劇を過激な残虐描写とたっぷりの血飛沫で描いた問題作だと言っても過言ではないため、本作品の鑑賞は自己責任でお願いしたいところだ。

No. 4 Hell House LLC

【ジャンル】
幽霊/ドール/モキュメンタリー
【公開年】
2015年
【製作国】
アメリ
【上映時間】
93分
【監督】
ティーブン・コグネッティ
【出演者】
ゴア・アブラムス
アリス・バク
ダニー・ベリーニ
テオドール・ブルックス
【ストーリー】
曰く付きの廃墟ホテルを活用したお化け屋敷をオープンして早々、スタッフや入場者たちが不可解な死を遂げる事件が次々と発生する。
【シリーズ一覧】
2015年 Hell House LLC
2018年 Hell House LLC II:The Abaddon Hotel
2019年 Hell House LLC III:Lake of Fire
【評価】
ストーリー性:★★★★★★☆☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★★★☆☆
人間が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:★★★★★★★★★★
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★★☆☆☆☆☆☆☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★★★★☆
俳優の演技力:★★★★★★★★★★
映像と演出力:★★★★★★★★★★
胸糞が悪い度:★★★★☆☆☆☆☆☆
エロティック:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
"REC/レック"や"呪詛"のようなファウンドフッテージ系のホラー映画の中でも上位に入るほどの怖さを誇るオカルトホラーの傑作。序盤から中盤まではお化け屋敷のスタッフたちの会話がほとんどで、怖さをあまり感じられないが、中盤以降は不安になるような雰囲気と心霊現象の連べ打ちで心臓がもたない。心臓に悪いジャンプスケアの演出は意外と少なめで、ジャパニーズホラーならではの不気味な雰囲気の演出の方が多かった。特に等身大のマネキン人形が暗闇の中に設置されているだけの演出は、鳥肌が立つほど不気味。あまりの恐ろしさに失神する観客が続出してもおかしくないはずだ。また、画面酔いに弱い人が多くて好き嫌いが分かれるファウンドフッテージ系にしては珍しく、落ち着いた画作りで丁寧に撮影するカメラワークを取り入れている点も特筆すべき点。落ち着いた画作りで丁寧に撮影するカメラワークを取り入れているというよりは、主に監視カメラの映像を繋げて編集しただけの内容であるため、画面酔いが起きやすいファウンドフッテージ系が苦手な人でも楽しめるだろう。

No. 5 死霊のはらわた

【ジャンル】
スプラッター/幽霊/憑依
【公開年】
2013年
【製作国】
アメリ
【上映時間】
91分
【監督】
フェデ・アルバレス
【出演者】
ジェーン・レヴィ
シャイロー・フェルナンデス
ルー・テイラー・プッチ
エリザベス・ブラックモア
ジェシカ・ルーカス
【ストーリー】
鬱蒼とした山奥に佇む小屋を訪れた5人の男女は、地下で見つけた不気味な書物の封印を解いたことが原因で、邪悪な死霊が次々と引き起こす惨劇に巻き込まれる。
【シリーズ一覧】
1981年 死霊のはらわた
1987年 死霊のはらわた
1992年 死霊のはらわたⅢ/キャプテン・スーパーマーケット
2013年 死霊のはらわた
2023年 死霊のはらわた ライジン
【評価】
ストーリー性:★★★★★☆☆☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★☆☆☆☆
人間が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:★★★★★★★★★☆
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★★★★★★★★★★
ゾクゾクする:★★★★★★★☆☆☆
俳優の演技力:★★★★★★★★★☆
映像と演出力:★★★★★★★★☆☆
胸糞が悪い度:★★★★★★★☆☆☆
エロティック:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
オリジナル版の"死霊のはらわた"からコメディ要素を除いた分、痛々しさや怖さが5倍ぐらいに増えたリメイク版。オリジナル版を気に入ってる方には申し訳ないが、個人的には笑いのない純粋なホラー映画が好きで、本気で怖いリメイク版を紹介することにした。本作品にはスプラッターホラーにおける痛々しさだけではなく、オカルトホラーにおける不気味な雰囲気や怖さも詰まっていて、「怖い・痛い・胸糞」と三拍子揃った、実に良く出来たリメイク版だと思う。オリジナル版は唯一無二の存在であるため、リメイク版の評価が分かれるのは仕方ない。だが、オリジナル版を尊重しつつ、色々な要素をパワーアップさせた、新しい"死霊のはらわた"も意外と悪くないことを読者にも知ってもらえたら嬉しい。ちなみに2023年公開の"死霊のはらわた ライジング"も本作品に匹敵するほど怖くて、こちらも時間がある時に見て欲しいところだ。

No. 6 死霊館 エンフィールド事件

【ジャンル】
実話/悪魔/幽霊/憑依/ドラマ
【公開年】
2016年
【製作国】
アメリ
【上映時間】
134分
【監督】
ジェームズ・ワン
【出演者】
ベラ・ファーミガ
パトリック・ウィルソン
フランシス・オコナー
マディソン・ウルフ
サイモン・マクバーニー
フランカ・ポテンテ
【ストーリー】
ホジソン一家に助けを求められた心霊研究家のウォーレン夫妻は、ホジソン一家を苦しめる恐怖の元凶を探るために彼らの家を訪問する。
【シリーズ一覧】
2013年 死霊館
2014年 アナベル 死霊館の人形
2016年 死霊館 エンフィールド事件
2017年 アナベル 死霊人形の誕生
2018年 死霊館のシスター
2019年 ラ・ヨローナ 泣く女
2019年 アナベル 死霊博物館
2021年 死霊館 悪魔のせいなら、無罪。
【評価】
ストーリー性:★★★★★★★★☆☆
オリジナル性:★★★★★★★★☆☆
人間が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
悪魔が怖い度:★★★★★★★★★★
幽霊が怖い度:★★★★★☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★★★★☆
俳優の演技力:★★★★★★★★★★
映像と演出力:★★★★★★★★★★
胸糞が悪い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
エロティック:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
実話から生まれた恐怖に誰もが戦慄するオカルトホラーの傑作。シリーズを重ねるごとに慣れてしまい、迫力を感じなくなるホラー映画が数多くある中で、"死霊館"シリーズは全く衰えることのない恐怖を提供してくれる作品として優れている。また、過激な残虐描写に頼ることなく、濃密な精神的恐怖を演出するジェームズ・ワン監督の並々ならぬこだわりがぎっしりと詰まっている点も異彩を放っていた。それどころか、スピンオフ作品や続編が数多く作られている中で、"死霊館"の続編に当たる本作品は、"死霊館"シリーズ屈指の怖さを味わえるという点も忘れないで欲しい。鳥肌が立つような恐怖演出の数々もありつつ、怪奇現象を通して絆の深まるエドとロレインの関係やホジソン一家の家族愛の描写も秀抜。以上のことから、ホラー映画としての怖さだけでは終わらず、ヒューマンドラマやミステリー映画の奥深さもしっかりと織り込まれていて、見応えのあるホラー映画として仕上がっていた。家族愛を盛り込んだホラー映画が好きな人は必見。

No. 7 透明人間

【ジャンル】
犯罪/社会派/サイコ/ミステリー
【公開年】
2020年
【製作国】
アメリ
【上映時間】
124分
【監督】
リー・ワネル
【出演者】
エリザベス・モス
オルディス・ホッジ
ストーム・リード
オリヴァー・ジャクソン=コーエン
ハリエット・ダイア
【ストーリー】
自殺した恋人のエイドリアンが透明人間になって自分に近づいていると感じたセシリアは、見えない何かに襲われていることを友達や警察官たちに証明しようと奔走する。
【シリーズ一覧】
1933年 透明人間
2020年 透明人間
【評価】
ストーリー性:★★★★★★★★★☆
オリジナル性:★★★★★★★★★☆
人間が怖い度:★★★★★★★★☆☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★★★★☆☆☆☆☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★★★☆☆
俳優の演技力:★★★★★★★★★★
映像と演出力:★★★★★★★★★★
胸糞が悪い度:★★★★★☆☆☆☆☆
エロティック:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
1933年に公開された古典的名作である"透明人間"を現代的にリメイクしたサイコホラーの傑作。ブラムハウス製作による本作品は、初公開時に全米No.1大ヒットを記録した。"ソウ"や"インシディアス"などのホラー映画で脚本を手掛けたリー・ワネルが監督を務めている。本作品の見所といえば、終始途切れない緊張感と先の読めないストーリー展開だ。とにかく始めから終わりまでずっと緊迫感が続いていて、見ているこっちは息が詰まりそうだった。良い意味で褒めている。本作品をこれから見ようと考えている方には、ネタバレや予備知識なしで翻弄されるまま楽しんで欲しいと思う。余談だが、とある人物が終盤で言い放ったセリフは、シンプルながらも深みのある表現で印象深かったのは記憶に新しい。日常生活で何かしらの目的を果たした後は、「サプライズ」を口ずさみたくなってくるだろう。

No. 8 家

【ジャンル】
幽霊/サイコ
【公開年】
1976年
【製作国】
アメリ
【上映時間】
116分
【監督】
ダン・カーティス
【出演者】
カレン・ブラック
オリヴァー・リード
バージェス・メレディス
アイリーン・ヘッカート
リー・ハーコート・モンゴメリー
【ストーリー】
夏休みに格安の貸別荘で休暇を過ごすことになったロルフ一家は、叔母のエリザベスが不可解な死を遂げた日を境に、家の中に得体の知れない何かがいると感じ始める。
【シリーズ一覧】
1976年 家
【評価】
ストーリー性:★★★★★★☆☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★☆☆☆☆
人間が怖い度:★★★★★★★☆☆☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:★★★★★★☆☆☆☆
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★★☆☆☆☆☆☆☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★★★★☆
俳優の演技力:★★★★★★★★★★
映像と演出力:★★★★★★★★☆☆
胸糞が悪い度:★★★★★★☆☆☆☆
エロティック:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
"シャイニング"や悪魔の棲む家"と並ぶ、呪われた館を舞台にしたオカルトホラーの名作。世の中にはお化け屋敷を題材にしたホラー映画は数々あれど、本作品は"シャイニング"に匹敵するほど個人的には怖かったホラー映画でもある。本作品を気に入った理由は、自分でもよく分からないが、呪われた館の謎が解き明かされない点が意外と良かったと思う。謎を解き明かそうとする意欲がなく、鑑賞後に放り投げられたかのような感覚があるが、不親切だからこそ得られる独特な怖さが堪らないと感じるホラーマニアが出てきてもおかしくないはずだ。感覚的にはジャパニーズホラーに通じる怖さの演出が主で、ジャパニーズホラーが苦手な人には厳しいだろう。また、今までに見てきたホラー映画の中では、子供が酷い目に遭うケースは滅多になかったが、本作品に関しては違った。そのため、お化け屋敷を舞台にしたホラー映画の中では、後味の悪さは最悪と言っても過言ではない。精神的に追い詰められるホラー映画が好きな人なら見て損はないと思う。

No. 9 隣人は静かに笑う

【ジャンル】
ミステリー/ドラマ/サイコ/犯罪
【公開年】
1999年
【製作国】
アメリ
【上映時間】
117分
【監督】
マーク・ペリントン
【出演者】
ジェフ・ブリッジス
ティム・ロビンス
ジョーン・キューザック
ホープ・デイヴィス
ロバート・ゴセット
メイソン・ギャンブル
【ストーリー】
大学でテロリズムの歴史を教えているマイケルは、親しくなった隣人のオリバーの素性を探るうちに、決して足を踏み入れてはいけない事実に辿り着く。
【シリーズ一覧】
1999年 隣人は静かに笑う
【評価】
ストーリー性:★★★★★★★★★★
オリジナル性:★★★★★★★★★★
人間が怖い度:★★★★★★★★★☆
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★★★☆☆
俳優の演技力:★★★★★★★★★☆
映像と演出力:★★★★★★★★★☆
胸糞が悪い度:★★★★★★★★☆☆
エロティック:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
今までに見てきたどんなホラー映画よりも怖いクライムホラーの傑作。前半は怪我をした少年を助けたことがきっかけで、マイケルが隣人と仲を深めていくという、アットホームな感じの内容で怖くなかった。だが、後半になるにつれて畳み掛けるような恐怖の連続で心臓が止まるかと思った。また、"他人の秘密を暴いても幸せになれない"というメッセージが犇々と伝わってくるホラー映画でもあった。ホラー映画でよく見かける、血や内臓が飛び散る等の派手な映像はほとんどなく、どちらかといえば人間の怖さに焦点を当てているため、全体的には地味な内容である。とはいえ、地味でシリアスな内容でありながらも、ゾッとするポイントをたくさん押さえている点に感心してしまった。さらにラストは衝撃的なバッドエンドで後味も悪いはずだが、それでも映像と物語の楽しさをここまで感じさせてくれるのは流石だ。芯から震え上がらせる恐怖を是非、本作品で味わって欲しい。

No.10 キャリー

【ジャンル】
青春/超能力/リベンジ
【公開年】
1976年
【製作国】
アメリ
【上映時間】
98分
【監督】
ブライアン・デ・パルマ
【出演者】
シシー・スペイセク
パイパー・ローリー
ウィリアム・カット
ジョン・トラヴォルタ
エイミー・アーヴィング
ナンシー・アレン
【ストーリー】
学校で日常的にいじめを受けているキャリーは、初潮を迎えて動揺する中、念じることで物を動かせる超能力に目覚め始める。
【シリーズ一覧】
1976年 キャリー
1999年 キャリー2
2002年 キャリー
2013年 キャリー
【評価】
ストーリー性:★★★★★★☆☆☆☆
オリジナル性:★★★★★★★★☆☆
人間が怖い度:★★★★★★★★★★
悪魔が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
幽霊が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
怪物が怖い度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
スプラッター:★★★★★☆☆☆☆☆
ゾクゾクする:★★★★★★★★☆☆
俳優の演技力:★★★★★★★★★★
映像と演出力:★★★★★★★★☆☆
胸糞が悪い度:★★★★★★☆☆☆☆
エロティック:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【感想】
幸福の頂点から地獄へと叩き落されたキャリーがテレキネシスの能力に覚醒する様子を描いたサイキックホラーの傑作。オープニングからラストまで、恋する乙女、母やクラスメイトにいじめられて悲しむ少女、怒りが爆発した女性など、劇中ではシシー・スペイセクが卓越した演技を見せてくれた。脳に焼きつくほどの圧倒的でパワフルな演技力で、その演技力に脱帽するばかり。今までに色々なホラー映画を見てきたが、パワフルな演技力を放つ女優はなかなかいないかもしれない。キャリーのお母さんを演じたパイパー・ローリーの怪演もなかなか怖かった。役者たちの演技力だけではなく、映像や演出にも力が入っていて、その辺も見応えがある。最大の見所といえば、クライマックスのパーティーでの地獄絵図だろう。ホースが宙を舞う、大火事になる、電気ショックが発生する等のテレキネシスによる惨殺シーンは多くの視聴者にトラウマを植え付けたに違いない。このように言葉には言い表せないほどの魅力が本作品にはたくさん詰まっていて、ホラーファンなら1度は見ておいて損はない傑作だと思う。

《その他:ランクインしなかったけど怖いホラー映画》
Headless(2015)、V/H/S ネクストレベル(2013)、エクソシスト(1973)、マリグナント 狂暴な悪夢(2021)、ミラーズ(2008)、フロム・ビヨンド(1986)、ヒルズ・ハブ・アイズ(2006)、エルム街の悪夢1984)、フッテージ(2012)、サイレンス(2016)、マウス・オブ・マッドネス(1994)、イット・フォローズ(2014)など。